抄録
フヨウ (H. mutabilis) (2n=92)×モミジアオイ (H. coccineus) (2n=38) のF1 (1955交配, 1956 F1育成) についてはすでに報告 (1962) したごとく, 完全に不稔であるが, これをコルヒチン処理 (1960) により, 染色体を倍加し, 後代に新複二倍体を得た。これをモミジフヨウ (H. muta-coccineus KUWADA) と命名する。
モミジフヨウの特性をその両親と比較したのが第2表より第7表までである。モミジフヨウは両親に比べ著しく強勢であり, 草丈は高く, 茎は太い。茎葉の色ならびに葉型はだいたい両親の中間である。花色はモミジアオイとよく似て赤紫色である。花弁, 花径は大きく, 開花期間は長い。花粉稔性, 種子稔性ともに良好である。種子の形はフヨウに類似し, またフヨウと同様に, 表面に毛茸を有す。種子の大きさは両親のほぼ中間である。モミジフヨウのPMCでは65IIが観察され, 成熟分裂に特に異常は認められず2n=130であつた。