日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
国内栽培油脂用ひまわり種子脂質の品質性状
未利用国内産油脂資源(第1報)
山崎 恵長尾 昭彦笠野 秀雄木村 正義
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1984 年 31 巻 10 号 p. 619-623

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抄録
国内で栽培された4品種(INRA 6501, ISG 907, Pe-redovik, Sunbred 212)の油脂用ひまわり種子の成分および脂質の品質性状を明らかにした。
(1) 種子中の殼の割合は,INRA 6501が4品種中一番高く28.5%を占めた。これに対応し同種は油分が低く37.7%であった。ISG 907, Sunbred 212の種子中の脂質量は59.8%, 59.4%を示し,種子中では44.9%,45.2%と高い油分を示した。各種とも殼中に2.0~3.2%の脂質を含有していた。種子中の蛋白質含量は15.4~19.3%を算え蛋白資源としても有望と考えられる。
(2) 種子脂質のヨウ素価(135.8~138.3)は高く,乾性油としての性質を示すものであった。不けん化物は1.3~1.5%存在した。
(3) 種仁脂質中のトリグクセリドは97.3~98.9%の高割合を示した。殼中脂質の主成分は種仁脂質と同じようにトリグリセリドであったが,トリグリセリド以外の成分として遊離脂肪酸,ステロール類,ステロールエステル類をそれぞれ数%含有していた。
(4) 種子脂質の主要脂肪酸はリノール酸で67.7~70.5%を占めた。調理および保存上問題となるリノレン酸は非常に低量で0.1~0.2%程度のものであった。
(5) 種子脂質はビタミンEとしてのTocを728~965(μg/g)含有していた。生体内での酸化防止活性がToc異性体中で最も高いと言われているα-Tocを94~96%含有していた。
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