抄録
ビンロウジ, コモチクジャクヤシおよびキューバダイオウヤシについて発芽機構および最適発芽条件を知るために1967年実験を行なつた。
1. ビンロウジ種子は繊維質の果皮におおわれ, 胚はへん平状の下底部に位置し, 胚乳は均質でない。コモチクジャクヤシ種子およびキューバダイオウヤシ種子の胚は種子の横軸に対して斜め上方に位置し, 胚乳はキューバダイオウヤシは均質であるが, コモチクジャクヤシは均質でない。
2. 発芽型はビンロウジ種子およびキューバダイオウヤシ種子は隣接•小舌状発芽で, コモチクジャクヤシ種子は遠距離•管状発芽を示した。
3. 発芽率はビンロウジ種子は38%, コモチクジャクヤシ種子は約70%そしてキューバダイオウヤシ種子は約50%であつた。
4. 適温での発芽日数はもつとも短いもので, ビンロウジ種子34日, コモチクジャクヤシ種子30日そしてキューバダイオウヤシ種子8日であつた。
5. 発芽適温はビンロウジ種子は25~30°C, コモチクジャクヤシ種子およびキューバダイオウヤシ種子はそれぞれ30°C付近であつた。
6. は種用土はビンロウジ種子およびコモチクジャクヤシ種子はバーミキュライトおよび川砂が, キューバダイオウヤシ種子は粘質壌土がよかつた。