抄録
1. 長十郎を供試して, 1967年2月に立ち木仕立ての木をたな仕立てに, ′69年2月にたな仕立ての木を立ち木仕立てに樹形を変更した.
2. 立ち木からたな仕立てへと樹高を低下させた場合, せん定量が多く, たなから立ち木へと樹高を高める樹形変更はせん定量が少なかった.
3. 樹形変更1年目は平均果重への影響が明確にでないで, 収穫果数の減少などの過渡的な現象がみられた. 樹形変更後2年目以降, 収量と収穫果数も回復し, 平均果重に対する樹形変更の影響が認められた.
4. 果実生産要因として, 1樹当たりの葉重 (F) に対する, 葉を除いた新しようの枝重 (Cs), 直径2cm以上の太さの枝幹の材の重量 (Cw), 果実数量 (Cy) の乾物重における比をCs/F, Cw/F, Cy/Fにより求めた. 樹形変更に伴うせん定の影響はCs/Fに最もよく示された. 強いせん定はCw/Fの増加率を低下させる効果と, Cs/Fを高める効果があった. 逆に, 弱いせん定はCw/Fを増し, Cs/Fを低下させた.
5. 1965, ′66年の結果と同様に, 本研究の1970年の調査結果においても, Cs/Fが1.3~1.5の範囲で単位土地面積当たりの果実生産量は高かった. Cs/Fはせん定の強弱の影響を受けやすいが, 高い果実生産はCs/Fの一定の範囲においてのみなされた. これらから, せん定の適正度の判定基準にCs/Fが有効であると推定された.