抄録
1. 砂耕栽培の1年生温州を供試し, 水素イオン濃度および断水処理により, 根の生育環境を変えて, 光合成産物の転流のようすを14Cを使つて, 追跡した.
2. 根の生長を抑制すると, 光合成産物は, 葉にとどまる量が多くなり, 果実や新しようおよび根に対する転流が悪くなつた. pH 3.0区で, 水分供給が十分にある状態では, 果実や新しようへの転流が, 少し押えられたにすぎなかつたが, 24時間の断水処理をした場合には, 果実への転流が著しく押えられた.
3. 乾燥下で生長した果実の糖度は高いが, その原因を, 水分の物理的濃縮のみに帰するには無理があり, 上記の結果とも合わせて, 果実内での糖の代謝が乾燥下では変わつてくる可能性が指摘された.