抄録
1. 鉢植え3年生のブドウ, デラウェアについて, N (硫安) の基肥としての施用期の違い (1月~4月) が, 樹体の初期生長および花房の発達に及ぼす影響を, 根のN吸収, 同化および移行との関連において調査した.
2. Nの施肥期の影響は, 結実にたいしては明らかでなかつたが, 花房の発達にたいしては顕著であつた. すなわち3月中旬以降の施肥では, 花数の多い充実した花房の数が, 1月, 2月施肥および対照としての無施肥(N-O区) よりも減少した. 新しようの生長は, 花器形成期である初期には, おそい施肥区で同じくもつとも劣つたが, その後は促進された.
3. 早期に施されたNは, 冬季からすみやかに吸収され, おもにタンパク態で細根に蓄積し, ほう芽20日前ころからの樹液流動期に, 芽へ直接, 急速に移行した. この移行によつて, 早期施肥区やN-O区の細根内Nは著しく減少した. しかし4月施肥区ではほう芽後まで増加を続け, Nの吸収と転流が同時に活発に行なわれていることがわかつた.
4. 枝の切断部より溢出する樹液を集めて分析したところ, おそい施肥区では無機Nの含量が高い傾向があつた. 有機N化合物についても, 他区に比べてアミドが少なく, グルタミン酸が多いこと, また核酸関連物質の含量が低いことなどの特徴がみられた.
5. 細根および樹液中のN以外の主要成分についても調べたが, わずかに細根のP含量の変動パターンがNの場合と類似していたほかは, とくに生長, 発達の傾向と関連のある結果は得られなかつた.