抄録
香川県地方のキャンベルス•アーリー園で, 梅雨期に多く発生する結果枝基部の葉脈黄変葉の発生原因を究明するために, 1969年~′70年に, 葉脈黄変葉ならびに土壌湿度の過剰条件下における結果枝基部葉の要素含量を調査した.
1. 葉脈黄変葉は健全葉にくらべて, とくにNおよびP含量が少なく, Cu含量が目立つて多かつた. この場合N含量は葉柄•葉脈部で, P含量は葉肉部でより少なく, Cu含量は葉肉部でより多かつた.
2. 梅雨期において常習的に落葉の多いブドウ園では, 新しようの生育が進むにつれて結果枝基部葉内のNおよびP含量は減少し, Cu含量は高くなる傾向があり, 後者は土壌中の可給態Cuの含量と関係があるものと思われた.
3. 鉢植ブドウのたん水処理実験において, 細根の黒変•枯死がみられ, 基部葉の葉内N, PおよびK含量が低下し, Mn, FeおよびCu含量が高くなつた. しかし, 先端部葉では健全なものとの差は少なかつた.