抄録
ブドウの新しよう基部における葉脈黄変葉の発生に及ぼすCuの影響をみるために, キャンベルス•アーリーを用いて実験を行なつた.
1. 硫酸銅の50~2000ppm溶液で, さし木苗を水耕した場合に, 各区に葉脈の黄変葉が発生し, 高濃度のものほど発生が早く, 黄変が明りようであつた. しかし, 硫酸銅溶液に処理する前に0.1%リン酸一カリ溶液で水耕した場合には, 黄変葉の発生割合が低く, 葉脈の黄変は不明りようであつた.
2. 硫酸銅の1000ppm溶液の水耕において発生した葉脈黄変葉の葉脈の切片を, Diphenyl Carbazide 溶液で染色し検鏡したところ, 維管束部にCuの存在を認めた.
3. 硫酸銅を土壌に施用してたん水した区では, 新しよう基部に葉脈黄変葉が発生し, 対照区にくらべて葉内のCu含量が高く, MnおよびFeもやや高い傾向がみられた. さらに, 葉脈黄変葉の発生樹は健全樹にくらべて, 基部葉のP含量が少なく, 反対にCu含量が多く, P/Cu比が小さかつた.