園芸学会雑誌
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マーガレットの開花特性に関する研究
小西 国義吾妻 浅男
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1975 年 44 巻 2 号 p. 144-153

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抄録

マーガレットをおおよそか1月ごとにさし芽, 定植し, 1971年1月1日を最初として30日間隔で摘心を行ない, 年間を通じて無加温室で栽培し, 開花反応の季節的変動を調べた. また, 花芽形成過程を観察し, 温度が花芽分化および発達に及ぼす影響, 日長が開花に及ぼす影響などを検討し, さらに, 苗の低温処理や親株の育成温度の影響などについて調べた.
1. マーガレットの開花反応は季節的に変動し, 冬~春季, 5月末までに摘心して栽培した場合には低節位で早く開花したが, 6月末の摘心では開花が極端に遅れた. その後の摘心では, 開花は少しずつ早くなつた.
2. 好適条件のもとでは, 摘心後ただちに側枝の花芽形成が始り, 20日後には発らいに至つた.
3. 高温によつて花芽分化は阻止されたが, いつたん分化すると, その後の花芽発達に対する高温の抑制作用は認められなかつた.
4. 高温は花芽分化を直接的に抑制するだけでなく, 長期間にわたつて高温に置かれた株は, その後好適条件に移されても花芽分化が遅れた. すなわち, 高温によつて株自体が花芽分化しにくい状態になつた.
5. 株自体の花芽分化しにくい状態は低温処理によつて克服され, 低温を受けた株は再び開花しやすくなつた.
6. マーガレットの開花は長日によつて促進された.
7. 親株を15°Cに維持しつづけ, さし芽後も15°Cで栽培しても, 開花反応の季節による変動は, 振幅は小さくなつたがまつたく消失することはなく, 開花反応に内生的リズムが認められた.

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