日本婦人科腫瘍学会雑誌
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ワークショップ2
鏡視下における膀胱子宮靭帯前層処理と岡林の腟側腔展開の実際
関山 健太郎
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2024 年 42 巻 2 号 p. 128-133

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抄録

概要:子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘術において予後不良とならないために,手術操作による腫瘍の拡散を防ぐことが強調されているが,術者の意図しない切除範囲の不足を防ぐことにも留意すべきである.術者の意図しない切除範囲の不足を防ぐためには,十分な術野展開を行い,客観的な解剖学的ランドマークに基づいて切除ラインを決定する必要がある.腹腔鏡下手術で開腹手術と同等の十分な術野展開を再現するためには,鉗子による組織の牽引のみでは難しく,糸による組織の吊り上げを追加することが極めて有用である.糸による組織の吊り上げを追加することで術野が安定し,客観的な解剖学的ランドマークの認識が容易となる.子宮頸癌手術において客観的な解剖学的ランドマークに基づいて切除ラインを決定するためには,膀胱子宮靭帯前層処理,岡林の腟側腔の展開の2つの操作が最も重要である.これら2つの操作は,広汎子宮全摘術における難所とされてきたが,子宮頸部側方の血管解剖を理解して,鏡視下手術の特性を活かした再現性の高い術野展開を行うことで,安全確実に遂行できるようになる.

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