抄録
自家不和性植物 Petunia hybrida, 系統W166H(S2S3) と系統K146BH (S6S6) を用いて試験管内受精を行なつた. 受粉法として次の2方法を用いた: (i)Rangaswamy と Shivanna (1967) が使った, 花粉を未受精はい珠に直接散布する方法 (Placental pollination);(ii) 無菌的に摘出した花柱に, あらかじめ用意した花粉を自家受粉または他家受粉したあと, 花柱を7~10mmの長さに切り, それらの花柱の切り口をはい珠にできる限り近づけ置床する. この新しい受粉法を Stylar pollination と呼ぶ.
Placental pollination: W166H の自家受粉および他家受粉 (K146BH の花粉を使用) で, それぞれ子房あたり3.1粒, 2.9粒の種子が得られた. それらの種子を胎座から切り離し, 新しく用意した寒天培地には種したところ多数の実生が得られた. 一方K146BHのはい珠にK146BHおよびW166Hの花粉を散布したが, はい珠表面での花粉管伸長は良好であるにもかかわらず, 完熟種子は自家受粉および他家受粉区とも全く得られなかつた.
Stylar pollination: W166H の自家受粉および他家受粉区で子房あたり12.2粒と11.5粒の完熟種子が得られた. またK146BHでも自家受粉区で5.2粒, 他家受粉区で5.9粒の完熟種子が得られた. Stylar pollination で得られたこれらの種子を寒天培地上には種したところ多数の正常実生が得られた.
以上のことから試験管内受精で自家不和合性の打破を試みるさいの受粉法として, Stylar pollination がplacental pollination よりも有効であり, 多くの種子が確実に得られることが明らかとなつた.