園芸学会雑誌
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ユリの遠縁種間交雑に関する研究
(第3報)胚培養により作出された遠縁種間雑種について
浅野 義人
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1978 年 47 巻 3 号 p. 401-414

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抄録
1. 花柱切断授粉法と胚培養との併用により作出された15組合せの新しい遠縁種間雑種の形質を調査した.
2. 外部形態は, 両親が species またはそれに近い組合せでは, 概して両親の中間内におさまり, 互いに似るが, 片親が雑種性の強い園芸品種であると, その交雑種は姉妹間で大きな変異を示した.
3. L. speciosum×L. henryi 及び L. ‘Shikayama’ 及び×L. henryi の組合せで, L. speciosum あるいはL.‘Shikayama’よりも更に濃い花色を発現する個体が出現した.
4. L. longiflorum (♀)との5つの交雑組合せで,L. longiflorum のゲノムを2セット(2x)有する異質3倍体が生じ, いずれも L. longiflorum に近い花型を示した.
5. 交雑種は一般に高い花粉不稔性を示したが, L.longifloum×L. ‘Hagoromo’ 及び L. ‘Shikayam’×L. henryi の組合せで比較的高い稔性を有する個体が出現し, 特定の species の間の近縁性を推察させた.
6. 戻し交雑による交雑率は著しく低く, 得られた少数の種子は, 2組合せからのものを除き, すべて不発芽に終った.
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