園芸学会雑誌
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ハツカダイコンの生育に対するカリ施肥の効果と置換性カリ含量との関係に影響を及ぼす要因
杉山 信男足立 宏
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1979 年 48 巻 1 号 p. 31-44

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抄録
置換性カリ含量の異なる3種の土壌を用いて, 1/2,000aワグナーポットで, カリ施用量とともに, チッソ, リンサン, 石灰, マグネシウム, ナトリウム, 光, 土壌水分含量の7要因のうちの1要因の水準を変えて, ハツカダイゴンを栽培した. そして, これら7要因が, ハツカダイコンの生育に及ぼすカリ施肥の効果と置換性カリ含量との関係をどの程度変化させるのかを明らかにしようとした.
1. 置換性カリ含量91ppmの土壌では, カリを施肥すると, 上記の要因のいずれの水準においても, 肥大根重は増加した.
2. 置換性カリ含量442ppmの土壌では, カリ施肥によって肥大根重が増加したことは, 一度もなかった.
3. 置換性カリ含量240ppmの土壌でカリを施肥した場合, マグネシウムと土壌水分要因の実験では, いずれの水準においても, 肥大根重は増加した. ところが,チッソ (硝酸カルシウムをチッソ源とした場合), リンサン, 石灰, ナトリウム, 光要因の実験では, いずれの水準においても, カリ施肥による肥大根重の増加が認められなかった. チッソ要因の実験では, 硫酸アンモニウムを40g施用した場合に, 肥大根重に対するカリ施肥の効果が認められたが, 10g施用した場合には, カリ施肥の効果が認められなかった.
4. 置換性カリ含量240ppmの土壌で, 肥大根重に対するカリ施肥の効果が認められる場合には, 無カリ区の植物体のカリ濃度が, 肥大根では約6.0%, 最も若い展開葉では約3.4%, 最大葉では約3.0%以下であった.
5. 置換性カリ含量91ppmの土壌では, カリ施肥によって, 地上部重が増加する場合と増加しない場合とがあった.
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