園芸学会雑誌
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そ菜類の発育•生長に関する生理形態学的研究
(第5報)レタスはい軸組織の不定芽形成に及ぼす 2,4-D及び Kinetin の作用について
佐々木 久視
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1979 年 48 巻 1 号 p. 61-66

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抄録
レタスの品種‘ワイヤヘッド’ (Lactuca sativa L. cv. Wayahead) のはい軸組織を用い, その不定芽形成に及ぼす2,4-dichlorophnoxyacetic acid(2,4-D) 及びkinetin(KIN) の濃度組合せ, 並びに作用時期の影響について検討し, 以下に示す結果を得た.
1. 不定芽形成に対するはい軸置床時の培地 (初期培地) に添加する2,4-D及びKINの最適濃度は, それぞれ0.1~1.0mg/l及び0.5~5.0mg/lであった.
2. 不定芽形成には初期培地に2,4-DとKINの共存が必要であり, 置床後0~4日目に単独で与えた2,4-Dは不定芽形成を顕著に阻害した. この阻害はその後2,4-D+KIN添加培地に移植, 培養し, その培養期間を長くするか, 光を与えることによって部分的に回復した.
3. 移植後の培地ではKIN 0.05, 0.1, 0.5mg/lの単独で不定芽を形成し, 2,4-DはKIN濃度の多少にかかわらず強い阻害を示した.
4. 移植後の培地中のKINの不定芽形成に及ぼす効果は, 移植後の培養初期すなわち培養開始後1~2週目において最も大であった.
5. 以上の結果から, レタスはい軸組織の不定芽形成過程は初期培地での培養における誘導期と移植後の培養初期の不定芽形成開始期, 更にそれ以降の生長期よりなるものと考えられる.
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