園芸学会雑誌
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ハツカダイコンの生育に対するカリ施肥の効果と体内カリ濃度との関係
杉山 信男岩田 正利
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1980 年 49 巻 3 号 p. 361-374

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抄録
置換性カリ含量91ppmの土壌を用いて, カリ施用量とともに, 窒素, リン酸, 石灰, マグネシウム, ナトリウム, 光, 土壌水分要因のうちの1要因の水準を変えて, 1/2,000aワグナーポットでハツカダイコンを栽培し, これら7要因が, カリ施肥に対する生育反応と体内カリ濃度との関係にどのような影響を及ぼすのかを明らかにしようとした.
1. カリ施用量が不十分なために生育が低下し始める区 (硫酸カリ4g区及び8g区のどちらと比べても, 地上部重あるいは根重に差が認められる区) は, 窒素, リン酸, ナトリウム, 光要因の水準の違いによって, 硫酸カリ0.5g区と2g区の間を変動した. これらの4要因の中では, 窒素要因の水準の違いによる変動が顕著であった.
2. カリ施用量が不十分なために生育が低下した区とそうでない区とは, ナトリウムを施用した場合を除けば, 最大葉で, 乾物当たり3.2%前後のカリ濃度によって区分される. しかしながら, 最も若い展開葉及び根のカリ濃度では, 上述の2区を区分できない場合があった.
3. ナトリウムを施用した場合には, 最大葉カリ濃度が3.2%以下に低下しても, 生育低下が認められない場合があった.
4. 以上の結果から, 最大葉における限界カリ濃度は, ナトリウムを施用した場合を除けば, ほぼ一定の値(3.2%) になると思われる.
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