園芸学会雑誌
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ハクサイの葉の外部形態に及ぼす温度の影響
大竹 良知
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1981 年 50 巻 2 号 p. 199-207

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抄録

ハクサイの結球現象に対する温度の影響を明らかにするため, 温度による葉の形態変化について調査した.
1. 肉眼で数えられる葉数, 葉の大きさは, 温度処理開始後には高温区 (昼30°C-夜25°C) で最大となったが, は種5~6週間後には中温区 (昼230C-夜18°C) が最大となった. これは葉の生長速度は高温区で最大になるが, 葉数の増加は中温区で最大になるためであると考えられる.
2. “包被葉”が現れ, それらによって“small head” が形成され始める葉位は低温区 (昼15°C-夜10°C) が最も低かった.
3. 葉長-葉幅比は高温区で大きく, 低温区で小さかった.
4. ハクサイの葉形について考察する時, 従来の葉長-葉幅比よりも, 中肋長-葉幅比を用いた方が, 葉形への温度の影響を見るには適していると考えられ, 高温ではこの比が大きく, 低温では小さくなる.
5. 葉形および“包被葉”の現れる葉位から判断して, 生理的には低温ほど早く結球態勢に入ると考えられる.

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