園芸学会雑誌
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ハツカダイコンの肥大初期における体内成分の変化及び内生サイトカイニンの肥大促進効果
早田 保義鈴木 芳夫
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1982 年 51 巻 1 号 p. 56-61

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抄録
ハツカダイコンの肥大初期における体内成分, 特に, 糖, 窒素, オーキシン様物質及びサイトカイニン様物質の消長を調査した. また, 内生サイトカイニン様抽出物の根部肥大に及ぼす影響についても調査した.
1. 葉部の糖含量は, 播種後16日前後まで減少傾向をたどりその後ほぼ一定値を保った. 胚軸部では発芽後いったんは減少傾向をたどったが, 肥大の開始とともに急激な増加を示した.
2. 葉部のオーキシン活性は, 生育が進むにつれ減少したが, 胚軸部では, すでに肥大が始まっている播種後29日目に高い活性が認められた.
3. 葉部のサイトカイニン活性は, 生育が進むにつれ減少傾向を示した. 胚軸部は, 播種後7日目に高い活性を示したが, それ以後減少傾向をたどり, 初生皮層の剥脱の開始が認められる播種後21日目から再び高い活性を示した.
4, ハツカダイコンから抽出したサイトカイニン様物質を, 播種後7日目のハツカダイコン実生株の胚軸部に6日間処理すると, 処理部の肥大が認められた.
5. 以上のことから, サイトカイニンは胚軸部の肥大生長に関与していることが明らかになり, さらにオーキシン及び糖も肥大生長に関係していることが指摘された.
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