園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
秋ギクの生育, 日持ち並びに葉縁褐変に及ぼす多量, 微量要素及びホウ素の影響
石田 明増井 正夫糠谷 明重岡 広男
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 52 巻 3 号 p. 302-307

詳細
抄録
培養液中の多量, 微量要素及びB濃度が, 秋ギクの生育, 切り花の日持ち並びに葉縁の褐変に及ぼす影響を明らかにしようとした. 品種‘精興の花’の挿し芽30日後の苗を, 砂を詰めた木箱(40×40×12cm)に4本ずつ定植し, ガラス室内の自然日長下で栽培した. 処理は第2表に示したように, 多量要素及び微量要素濃度を1S(標準) と3S (標準の3倍) の2段階, そして, Bを0.5, 1.0, 1.5ppmの3段階とした6区 (1区4反復) を設けた. 培養液 (1回, 1箱当たり0.5l) は, 7月11日から開花期まで, 晴天日は1日2回, 曇天日は1日1回施用した. また, 雨天の日は施用しなかった. 草丈は多量要素の高濃度処理区で減少した. 切り花新鮮重は低多量要素でB高濃度区において減少した. 根乾物重は多量要素, 又はBを高濃度で施用した場合に減少した. 切り花の日持ちは, 高濃度のB処理によって18~22日間も減少した. 開花日には処理の影響がみられなかった. 下位葉における葉縁の褐変は, 微量要素又はBの高濃度区では8月下旬に, また, 多量要素及び微量要素の高濃度区並びにB中濃度区では9月下旬に発現した. その後,その症状は下位葉から上位葉へと進展した. 葉縁の褐変は葉のB含量と高い相関々係がみられた. B含量は下位葉においてやや高かった.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top