園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
加温時期の異なるブドウ‘マスカット•オブ•アレキサンドリア’の発芽, 新梢生長及び花穂発育に及ぼす地温の影響
久保田 尚浩島村 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 53 巻 3 号 p. 242-250

詳細
抄録
樹齢や大きさの異なる H. F. 台の‘マスカット•オブ•アレキサンドリア’について, 加温時期をかえて地温処理を行い, 発芽, 新梢生長, 花穂発育などに及ぼす影響を調査した.
樹液のいっ泌量は12月, 2月加温ともに13°C区よりも27°C区で多く, 特に処理開始直後では13°C区の約2倍であった.
新根発生数はいずれの加温時期でも20, 27°Cの両区で著しく多く, 次いで34°C区で多かったが, 13°C区では全く発根しなかった.
発芽所要日数や発芽率は, 2月以降の加温では地温間での差が小さかったが, 1月以前の加温, 特に12月加温では地温が高いほど発芽が早く, また発芽率は15°C以下の各区よりも25~30°Cの各区で高かった.
新稍生長は, 鉢植え樹ではいずれの加温時期においても20, 27°Cの両区で優れ, 13°C区で著しく劣ったが, ベンチ植え樹では12月, 2月加温とも地温による差は小さかった.
鉢植え樹では12月, 2月加温ともに13°C区よりも27°C区の着穂数が多く, 花穂当たりの小花数も27°C区で多かった. ベンチ植え樹では, 2月加温には地温による差がみられなかったが, 12月加温においては13°C区よりも27°C区で花穂の発育が優れた.
満開後約3週間で地温処理を終了しても, 収穫時の果粒はいずれの加温時期でも13°C区よりも270C区で大きかった.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top