抄録
1000ppm の15βOH GA15, 15βOH GA24, 15βOH GA9(GA45)を含んだラノリンの処理が, ニホンナシ‘新世紀’, セイヨウナシ‘パスクラサン’, チュウゴクナシ‘鴨梨’の着果と果実の発育に及ぼす効果を GA4+7 のそれと比較した. その結果, いずれの品種でも, 満開3週間後に胚を除去した果実の着果には GA4+7 の施用が最も効果的で, GA45, 15βOH GA15, 15βOH GA24の順であった. 正常な幼果の一方の果面に, 上記のジベレリンを同じ濃度で施用したところ, 収穫時の果実の変形はそれほど著しくなかったが, 果重は対照区のものに比べて大となり, とくに GA4+7 でその効果が著しかった. これらナシ属3種の未熟種子中のジベレリン様物質をイネ苗及びオオムギの胚乳テストで調べたところ, イソプロピルアルコール:アンモニア:水(10:1:1v/v)の溶媒系では, RfO.7と0.9のところに二つの異なった活性がみられ, 前者は別報でGA3と同定されたが, 後者の活性物質については未同定である.