園芸学会雑誌
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キュウリ果実におけるアスコルビン酸酸化還元酵素の細胞内局在性
山内 直樹山脇 和樹上田 悦範茶珍 和雄
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1984 年 53 巻 3 号 p. 347-353

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抄録
青果物中の還元型アスコルビン酸 (AsA) は, AsAoxidase のような酸化酵素または非酵素的な反応によりモノデヒドロアスコルビン酸(MDHA)ならびに酸化型アスコルビン酸(DHA)に酸化される. これらMDHA, DHAはMDHA reductase ならびにDHA reductaseのような還元酵素によりAsAに還元される. このような酸化還元の場が青果物中に存在し, AsAの再利用を行っているものと考えられる.
本研究は, キュウリ果実を用い, この酸化還元の場を明らかにすることを目的として行った. 細胞内顆粒の分離には分画遠心法ならびにショ糖密度勾配遠心法を用い, 標識酵素などの細胞内分布から, MDHA reductase はクロロプラスト, ミトコンドリア, ミクロゾームならびにサイトゾールに存在することを認めた. クロロプラストでは特に完全なクロロプラストに存在し, 破壊されたクロロプラスト, すなわちチラコイドには存在が認められなかった. また AsA oxidase はミクロゾームならびにサイトゾールに, さらにDHA reductase のほとんどはサイトゾールに存在することが明らかとなった.
特にMDHA reductase がすべての画分でみられたことから, 本酵素はアスコルビン酸を再生産する還元酵素として, 細胞内の多くの場で作用しているものと推察された.
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