カラタチ台‘宮川早生’と‘川野ナツダイダイ’実生, アボカド実生を用いて, 低地温による吸水の制限がこれらの植物体の水分状態や体内の成分変化及び耐寒性に及ぼす影響について検討した.
1. 低地温処理は葉の蒸散を減少させるとともに, 葉の水ポテンシャルを低下させる傾向が認められた. また, その効果は地温が低いほど顕著であった.
2. 葉, 茎, 根の全糖とプロリン含量は低地温処理によって増加し, でんぷん含量は減少する傾向が認められた. ジベレリン活性は対照区に比べ13°C区の根と5°C区の葉で低かったが, 5°C区の茎と根では高かった. サイトカイニン活性は対照区に比べ低地温区の茎で低かったが, 5°C区の根で高かった.
3. 低地温処理は凍結による葉と茎の枯死率を低下させ, 耐寒性増大効果を示した. また, その効果は地温が低いほど顕著であった.
4. 本実験の結果から, カンキツやアボカドは低地温による吸水制限によって水ストレス状態となり, 糖やプロリンを増加させ耐寒性を増大させることが示唆された.