園芸学会雑誌
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水耕培養液の窒素形態とpHがそ菜の亜鉛過剰障害に及ぼす影響
大沢 孝也池田 英男
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1985 年 53 巻 4 号 p. 427-431

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抄録

培養液のN形態とpHがそ菜のZn過剰障害に及ぼす影響について検討するため, 数種そ菜を供試して水耕試験を行った. Znは0.05, 3, 10ppmの3レベル, Nは12me/l一定としてNO3, NO3+NH4(1:1), NH4の3区, pHは4, 6の2レベルとし, これらの組み合わせによる18処理区を設けた. 処理は原則として3週間行った.
1. Zn標準レベル (0.05ppm) ではNH4区に種々のNH4害症状がみられた. Zn高濃度ではpH6のNO3区において, 一部のぞ菜にZn誘導クロロシスが発生したが, NH4を含む区では発生しなかった. 同症状はpH4ではほとんど認められなかった.
2. Zn標準レベルにおける生育は, 一般にNO3,NO3+NH4両区は大差なく良好なのに比べてNH4区はかなり劣った. Zn高濃度処理によってNO3, NO3+NH4両区では生育が阻害されたが, 概して後者のほうが生育が優れた. NH4区の生育量はZnレベルとは無関係にほぼ一定して低かった. Zn高濃度のNO3, NO3+NH4両区では, 概して低pHのほうが優れた生育を示した.
3. Zn高濃度処理区における葉中Zn集積は, NH4の施用, 低pHによって抑制される効果がみられた.NO3, NO3+NH4両区では葉中Zn含有率と生育阻害の間に密接な関連があったが, NH4区では葉中Zn含有率とは無関係に生育量がほぼ一定して低かった.
4. 以上より, NH4+, H+はそれら自身の害作用が問題にならない濃度範囲内においては, そ菜のZn吸収を抑制し, Zn過剰障害を軽減する効果があると認められる.

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