抄録
7種の2年生カンキツの着生個葉, 及び8種のカンキツ実生の地上部全体を供試して, 光合成速度及び蒸散速度を測定し, その特性から気象反応の解析を試みた.個葉における光補償点は1.5~3.5klxにあり, 種間に差は少なかったが, 光飽和点は興津早生温州, 青島温州, ハッサク, ‘川野’ナツダイダイ, 及び‘太田系’ポンカンでは30~40klxの間にあった. ‘森田’ネーブルオレンジでは, 10~20klxの間にあり, イヨでは50klx以上の点にあると思われた. 光合成の最も盛んな温度は, 青島温州, 興津早生温州では25°C前後にあり, 20~35°Cの温度範囲では光合成速度の変化は, 比較的小さかった. しかし, ‘太田’ポンカン及び‘川野’ナツダイダイでは光合成適温は, 30°C前後と高かった.
実生全体で測定した結果, 光補償点がわずかに低くなったこと, 光飽和点が高くなったこと以外は, 個葉の結果と大差はなかった.
蒸散速度は, 温度が高くなるにつれて増加したが, 35°Cではわずかに低下する傾向にあった. ‘森田’ネーブルオレンジの個葉における蒸散速度は, 温度が変化してもその値に大きな差はみられず, 他種とは異なった傾向を示した.