1985 年 54 巻 3 号 p. 323-326
晩秋, 4年生ウンシュウミカン樹の葉に30時間連続して取り込まれた14C-プロリンの各器官への移動の状況を調べた. 春葉の中央切断部より取り込まれた14C-プロリンの一部は, その大半がそのままの形態で他の器官へ移動した. 吸収30時間目における主な移動先は枝の皮質部及び木質部であった. 葉への移動量も多く, また少なからず根にも移動が認められた. 枝及び根に移動した14C-ブロリンの大半はそのままの形態で存在したが, 中酸性成分への変化も少なくなかった. これらの結果より, 冬期における枝の耐寒性に対する葉の役割について論じた.