抄録
栄養繁殖を目的として Phalaenopsis 花茎先端部の節間切片を培養したところ, 50~80%の外植体が約100日後に下端にPLB (プロトコーム状球体) を形成した.
この不定芽的に形成されたPLBは継代培養を繰り返すことにより増殖した. また, PLBから分化したシュートはその後根を分化して幼植物体となった.
PLBの形成には Thomale GD (1954) の主要塩類, Ringe and Nitsch (1968) の微量塩類と有機塩類を用いた基本培地への, 10%ココナッツミルク, 5mg/lα-ナフタレン酢酸, 20mg/l6-ベンジルアミノプリンの添加が効果的であった.
PLBの原基は, 花茎の内側の皮層細胞を起源としているようであった.
この方法を用いると, 培養開始から1年間で1本の花茎から, 少なくとも400以上のPLB+シュートが得られるであろう.