園芸学会雑誌
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リンゴ果実のコルク•スポット及びビター•ピットの形態的差異
福田 博之
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1986 年 54 巻 4 号 p. 416-423

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抄録
区分の明確でない2種類の斑点性障害; コルク•スポットとビター•ピットについて, 顕微鏡及び肉眼により形態的差異を調査した.
1. コルク•スポットの発生は8月中旬~9月上旬に肉眼で認められたが, ビター•ピットの発生は成熟期及び貯蔵中であった.
2. コルク•スポットの斑点部細胞はビター•ピットより崩壊度が少なかった.
3. コルク•スポットの斑点部細胞は, 一般に隣接した健全部細胞より小さかった. 一方, ビター•ピットの斑点部細胞は健全部細胞と大きさに差がなかった.
4. 8月段階の未熟果では果肉組織に多量のでんぷん粒が認められるが, コルク•スポットの発生部位ではでんぷんが消失していた.
5. コルク•スポットの斑点部では直径50μm程度の小細胞の発生が認められた. 同様な小細胞は押し傷の傷害部などにも認められた. 一方, ビター•ピットの斑点部では小細胞は見当たらなかった.
6. 両障害の発生には品種間差異があり, ‘レッドゴールド’, ‘青り3号’などの品種系統ではコルク•スポットの発生が多く, ‘王林’, ‘つがる’などは, ビター•ピットが多かった. 一方, ‘スターキング•デリシャス’, ‘ふじ’などでは両障害とも多くみられた.
7. コルク•スポットの斑点部は直径5mm以上が多く, ビター•ピットでは5mm以下が多かったが, 例外も多く, 斑点部の大きさだけでは区分できなかった.
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