園芸学会雑誌
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ブドウ′デラウェア′における光合成産物の転流形態
松井 弘之湯田 英二中川 昌一
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1986 年 55 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

ブドウ′デラウェア′果粒の急激な糖蓄積期に当たる生長第3期の光合成産物の転流形態を明らかにするため, 種々な14C標識化合物 (sucrose, glucose, fructose,malic acid, tartaric acid, leucine, alanine) を用いて調査した.
1. 葉肉に14C標識化合物を施用した場合, 1時間後, 14C-化合物は葉柄にも認められ, 施用した形態のままで葉柄に転流してきた比率は14C-sucrose で25%,14C-glucose で29%, 14C-fructose で16%, 14C-malicacid で42%, 14C-tartaric acid で80%, 14C-leucineで47%, 14C-alanine で28%であった.
2. 果房から約75cmのところにある葉柄から 14C標識化合物を吸収させた場合, 2時間後, 吸収させた形態のままで果粒に転流した比率は14C-sucrose で8%(glucose と fructose を加えると70%), 14C-glucose で77%, 14C-fructose で71%, 14C-malic acid で14%,14C-tartaric acid で38%, 14C-leucine で28%, 14C-alanine で17%であった.
3. 本実験に用いた14C標識化合物の種類によって,単位時間当たりの転流量に差異があり, また, 転流の途中で糖, 有機酸, アミノ酸の相互で転換が認められるものの, 葉から果実への光合成産物の転流形態は糖, 有機酸, アミノ酸のいずれの形態でも可能と考えられる.

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