1986 年 55 巻 2 号 p. 123-129
ブドウの果色を構成しているアントシアニン色素を薄層クロマトグラフを用いて分析を行い,‘巨峰’に関連した品種の色素組成を検討した.
供試品種に‘キャンペル•アーリー’,‘石原早生’, ‘巨峰’,‘国宝’,‘高尾’の5品種を用いた.
5品種に含まれていたアントシアニンは, モノグルコサイド, ジグルコサイド, p-クマール酸のアシレートグループを含めて19種であり, アグリコンの種類では, デルフィニジン, ペテュニジン, シアニジン, マルビジン, ペオニジンの5種であった.‘巨峰’は, 5種のアグリコンを全て含み, アントシアニンも12種で最も多く, ‘キャンベル•アーリー’と‘石原早生’はマルビジン系の色素を欠いていた. 一方‘国宝’と‘高尾’はシアニジン系色素を欠くアントシアニン組成を示した.