園芸学会雑誌
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ブドウ‘巨峰’における1年枝の強さ, GA及びSADH葉面散布が側芽の壊死に及ぼす影響
内藤 隆次山村 宏吉野 克仁
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1986 年 55 巻 2 号 p. 130-137

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抄録

ブドウの側芽における壊死の発生原因と防止対策を明らかにする目的で,‘巨峰’についてまず1年枝の強さと側芽内の主芽の壊死, 翌春の発芽, 花穂の発育などとの関係を調べた. さらに, GA及びSADHの満開期前後の葉面散布が壊死の発生に及ぼす影響を調査した.
強勢な樹の強い1年枝 (平均枝長390cm) では, 第6~20節の側芽の約80%は主芽が壊死していたのに対し, 樹勢中庸な樹の弱い1年枝 (平均枝長88cm) では, 約20%の壊死率にとどまった. そして調査したすべての1年枝について, 長さと第15節までの側芽内の主芽の壊死率との間に, r=0.77**の高い有意な相関が認められた. また, 強い1年枝を結果母枝としたとぎ, 発芽率が低く, 花穂数が少なく, 花穂長が短い傾向があった.
GA 100ppmを満開前9日あるいは満開後7日に, 第5~9葉へ散布することにより, 第1~25節の広い範囲にわたり, 極めて高率で側芽内の主芽の壊死が発生し, また副芽の異常増加が認められた. 新梢の生長は, とくに第10節以上の節間で, 開花後散布より開花前散布で促進された.
SADH 5,000ppmを満開前14日あるいは満開後10日に第5~9葉へ散布したところ, 両処理とくに満開前散布は新梢の生長及び第10~25節の側芽内の主芽の壊死発生に対し顕著な抑制的影響を示した.
以上の結果より, ブドウの側芽の壊死と内生GAとの関係を推論するとともに, SADHの満開前の新梢への散布が壊死発生の有効な防止対策となることを明らかにした.

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