園芸学会雑誌
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キュウリの主茎における維管束の配列
金浜 耕基斎藤 隆
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1986 年 55 巻 2 号 p. 181-186

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抄録

キュウリの主茎上における維管束の配列と雌花の花柄の維管束の分裂様式を調べた.
1. 主茎の維管束配列に左右性が認められた.
2. 節間の維管束は, 周辺部 (皮層) に5本, 内側(髄) に4本観察された. 周辺部の維管束は内側の維管束に比べて細かった. 節間ではこれらの維管束の相互の連絡がみられなかった.
3. 節では中央部のリング状の維管束Oを経由してすべての維管束が連絡していた.
4. 葉柄の維管束は, 主として, 下位方向にある節間の維管束と直接連絡し, 更にその下位の節間を経由して, 2節下位の節で維管束Oに連絡していた. 直上位の節間に直線的に連絡する維管束は少なかった.
5. 節では, 巻きひげ, 側枝と雌花第1番花, 第2番花の基部の維管束が一本に融合して, 節の維管束Oと連絡していた.
6. これらの結果から, キュウリの光合生産物の転流は次のように行われるものと考えられた. 光合成産物はソース葉から主として下位方向, 特に直下の節間と2節下位の節間に多く転流した後, 各方向に分配される. 葉の直上の節間への直接の分配はそれほど多くない.
7. 花柄の維管束分裂様式に左右性と規則的な片寄りが認められた.
8. 花柄基部に5本, 花柄頂部に10本の維管束が観察された. 5本から10本への維管束分裂様式に五つの型が観察されたが, 分裂しない維管束1本, 2本に分裂する維管束3本, 3本に分裂する維管束1本で構成される花柄が最も多かった.
9. 分裂しない維管束は茎に近い側, 3本に分裂する維管束は茎と反対側に配列する花柄が多かった.
10. 以上の結果, キュウリの雌花の子房ないし果実の曲がる方向は主茎における維管束配列や花柄の維管束分裂様式の片寄りと密接に関係していると考えられた.

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