園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
落葉果樹苗木の掘り取り時期が植付け後の生育に及ぼす影響について
山本 洋子石橋 寛己
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 55 巻 2 号 p. 174-180

詳細
抄録

早掘りした苗木の質についての調査を目的とし, 9月中旬より半月ごとに, ナシ‘幸水’, クリ‘筑波’, カキ‘富有’の1年生苗木を摘葉•掘り取り, 圃場 (火山灰土壌) に植え付け, 翌春の活着及び生育について調査を行った.
1. 3年間を通じて, ナシとクリ苗木は11月1日以降の掘り取り苗木の健全率が高かった. カキは10月15日以降の掘り取り苗木の健全率が高かった.
2. ナシ苗木の主枝総伸長量は, 10月15日以降では掘り取り時期が遅いほど生育はよかったが, 3年間の平均値に有意差は認められなかった. クリ苗木及びカキ苗木においても同様の傾向であった.
3. 新根発生量は, ナシ及びクリとも11月1日と標準区 (ナシ: 11月9日, クリ: 11月13日) の苗木は, それ以前の早期掘り取り苗木よりも勝っていた.
4. ナシ苗木の地上部及び地下部の糖類の含量は大きな変動は認められず, でんぷん含量は地上部, 地下部とも11月2日まで増加し, それ以後はやや減少した.
5. ナシ, クリ, カキ苗木の掘り取り時期は, 11月1日以降がよいと思われる.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top