園芸学会雑誌
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イソチオシアネート類によるカットキャベツの褐変防止とエチレン生成阻害
矢野 昌充西條 了康太田 保夫
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1986 年 55 巻 2 号 p. 194-198

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抄録

カットキャベツの最も重要な品質劣化要因である褐変を防止する効果的な方法を明らかにするため, 褐変の品種間差及び褐変とエチレン生成•アリルイソチオシアネート (AITC) 含量との関係について検討した.
1. カットキャベツの褐変, エチレン生成量, AITC 含量には品種間差があり,‘銀力’•‘四季穫’の2品種は切断24時間後の褐変が少なく (ΔE(Lab) 4以下), エチレン生成量は少なく (0.9nl•g-1•h-1以下), AITC含量は多かった (3mg•100g-1 F.W. 以上). 一方, ‘秋蒔中早生2号’•‘新A号’•‘秋徳’•‘デリシャス’•‘越のひかり’•‘新夏秋’•‘寒穫1号’•‘秋暉’の8品種は褐変が著しく (ΔE(Lab) 9以上), エチレン生成量は多く (2.3nl•g-1•h-1 以上), AITC含量は少なかった (1.2mg•100g-1 F.W. 以下).
2. 外部から与えたAITC (キャベツ100gに対し2mg) はカットキャベツの褐変, エチレン生成, 呼吸を抑制した.
3. 褐変•エチレン生成•呼吸に対する抑制作用は, AITC以外のイソチオシアネート類にもほぼ同様に認められたが, シクロヘキシルイソチオシアネートは褐変抑制作用を示さなかった.

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