園芸学会雑誌
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バナナ果実の成熟誘導に対するエチレン処理の時間, 濃度及び温度の関係
稲葉 昭次中村 怜之輔
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1986 年 55 巻 3 号 p. 348-354

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抄録

バナナ果実の成熟誘導に必要なエチレン処理の最少時間と濃度及び温度との関係を調べた.
果実の炭酸ガス排出量は, 成熟誘導に必要な最少限度のエチレン処理時間でも, それ以上連続して処理したものと変わりなく増加し続けた. 成熟誘導時間以上のエチレン処理により, 果実のエチレン生成能力が閾値以上に高められるように思われた.
エチレン処理により, 果実のEFEとACC Synthase 活性が促進されたが, その場合EFEの方が先に活性化されるようであった.
成熟誘導に必要なエチレンの処理時間は, 果房によってかなり異なった. しかし, 同一果房内の果実にみられる処理条件に対する成熟誘導時間の差は, 果房が異なってもほとんど一定であった. これらのことから, バナナ果実の成熟誘導に必要なエチレン処理の最少時間は, 温度が一定ならば処理エチレン濃度の対数の1次関数として, また一定濃度下では温度の2次関数として表すことができるように思われた.

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