園芸学会雑誌
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源助ダイコンの空洞症発生における温度の役割
加納 恭卓
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1987 年 56 巻 3 号 p. 321-327

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抄録
源助ダイコンを高温期には種した場合, 根部の中心部が縦に空洞となる空洞症の発生原因を明らかにするため, 1984年と1985年の7月, 8月および9月の3ケ月にわたり15日間おきには種し, 根部の生育ならびに空洞発生について調査し, さらにパイピングした水道水で地温を低下させたうねに1984年の7月と8月には種し同様な調査を行った.
1. 1984年, 1985年とも最高気温•地温ともに7月31日から8月15日の期間で最も高かった. うねの冷却処理を行った場合, 地温はこの時期の対照区に比べて約6°C低く, 全生育期間を通じて最高でも25.9°Cであった.
2. は種後60日目の根重は, 1984年では7月17日に, 1985年では7月1日には種した場合に最も大きくなった. 空洞症には空洞内部が黒褐色に着色したものと, まったく着色していないものの2種類があった。空洞発生率は, は種後20-30日目ごろから増大しはじめた. 1984年, 1985年ともは種後60日目の空洞発生率は, 7月上旬から中旬には種した場合最も高く, 7月下旬以降のは種では低くなった.
3. うねの冷却処理を行った場合, は種後60日目では対照区に比べ空洞発生率は低くなり, とくに7月中のは種では空洞発生率の低下が著しかった.
これらのことより, 源助ダイコンの根部における空洞の発生には高地温が重要な働きをしているものと考えられる.
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