トマト (
Lycopersicon esculentum Mill.) 品種ポンデローザの葉肉プロトプラストの培養条件について検討を行った.
葉肉プロトプラストの材料として無菌的に育成した実生苗を用いた. 播種後5週目の苗の子葉及び本葉を小さく切り刻み, 0.5%セルラーゼオノヅカRS及び0.1%ペクトリアーゼY-23を組み合わせた酵素液を用いて, 27°C, 40spmの速さでゆっくりと3時間半振とうすることにより, 活性の高いプロトプラストが単離された.
1/4に希釈した MURASHIGE & SKOOG (1962) 培地の有機物, 8p (KAO & MICHYLUK 1975) 倍化の有機物, 1mg/
lNAA, 0.5mg/
lBA, 1%ショ糖及び0.4Mマンニトールを組み合わせた培地中に, 精製したプロトプラストを1.0×10
5個/mlの密度で懸だくし, 29°C, 暗黒条件下で培養を行った.
プロトプラスト単離後4~7日間のうちに第1回目の細胞分裂が認められ, 以後25°C, 300luxの培養条件下に移し, さらにマンニトールを含まない培地を3日毎に加えていくことにより, 30日目には, 直径0.5~1mm大のカルスが得られた. カルスの形成率は, プレートしたプロトプラスト数に対し, 約1%であった.
これらのカルスを, 1mg/
lゼアチン, 0.02mg/
lGA, 2%ショ糖及び0.8%寒天を含むMS培地に移植し, 25°C, 2,000luxの培養条件下で育成したところ, 18日目には, 0~2枚の葉を分化した不定芽が形成された.
伸長した茎葉を0.2mg/
lGA, 2%ショ糖及び0.8%寒天を含むMS培地に移植し, 発根を促した後, 鉢あげし, 完全な植物体を得た.
以上の培養実験により, トマト品種ポンデローザの葉肉プロトプラストから植物体を再生するための基本的条件が明らかにされた.
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