園芸学会雑誌
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ファレノプシスの生長と化学組成に及ぼす培養液濃度と培養土の影響
田中 豊秀松野 孝敏桝田 正治五味 清
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1988 年 57 巻 1 号 p. 78-84

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抄録
本試験は培養液の濃度と培養土がファレノプシスPhalaenopsis hybrid, ‘(Dtps. Red Lip×Phal. RedEye)×Phal. Culmination’ の生長と化学組成に及ぼす影響を調べる目的で行なったものである.
1. ボラ+ピートモス(3:1)混合土に植えたファレノプシスに窒素, リン, カリウム, カルシウム, マグネシウムの濃度がそれぞれ231, 46.5, 117.3, 80.1, 12.2ppmである培養液を標準培養液とし,その1/3, 2/3, 1,4/3倍の濃度の培養液を与えた。標準培養液によるファレノプシスの生長がよかった. 4/3倍濃度の培養液では葉の生長はもっともよかったが, 開花が遅れた. 培養液の濃度が高くなるにしたがって葉の窒素とカリウムの含有率が高くなったが, カルシウム, マグネシウムの含有率が低下した.
2. ファレノプシスを6種の培養土に植え, 標準培養液1/3倍の濃度の培養液で栽培した. 使用した培養土は次の通りである: ボラ+ピートモス(1:1)混合土, 同(2:1) 混合土, 同(1:1)混合土, ヘムロックバーク,レッドウッドバーク, 水ごけ.
水ごけ区のファレノプシスの生長はよかった. 葉の窒素, リン, カリウム, カルシウム, マグネシウムの含有率は対乾物当りそれぞれ1.74, 0.18, 4.42, 1.13, 0.48%で, マグネシウムが少なかった.
ボラ+ピートモス(1:1)混合土区のファレノプシスは水ごけ区のものに比べ, 生長がややよく, 開花も早かった. 葉の窒素, リン, カリウム, カルシウム, マグネシウムの含有率はそれぞれ1.36, 0.18, 2.20, 1.34,1.75%であった. ボラ+ピートモス(3:1)混合土と同(2:1)混合土のファレノプシスはボラ+ピートモス(1:1)混合土区のものに比べ生長と開花が劣った.
ヘムロックバーク区のファレノプシスは葉の生長は最もすぐれたが, 根の生長が劣り, 開花が遅れた. 芽の窒素, リン, カリウム, カルシウム, マグネシウムの含有率はそれぞれ2.93, 0.24, 4.49, 0.52, 0.32%で, 窒素とカリウムの含有率は高かったが, カルシウムとマグネシウムは低かった.
レッドウッドバークで栽培したファレノプシスは生長, 開花とも最も劣った. 葉のカルシウム, マグネシウム含有率が低かった.
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