園芸学会雑誌
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生育時におけるカンキツ果皮中のアスコルビン酸含量と糖含量との関係
泉 秀実伊東 卓爾吉田 保治
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1988 年 57 巻 2 号 p. 304-311

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抄録
生育中の普通ウンシュウ, 早生ウンシュウ及びハッサクにおいて, 光環境の違いによる果実の肥大, 着色度,果皮フラベド中の糖及び AsA 含量への影響を調べ, さらに糖含量と AsA 含量との関係について検討した.
1. 果実の発育は, ウンシュウミカン及びハッサクいずれも日照量の多い樹冠外側の果実の方が, 内側に比べ果径, 果実重共大きい傾向を示した.
2. ウンシュウミカン, ハッサク共果実の肥大の停止期に入るとともに, クロロフィルは消失し着色の促進が認められた. カロチノイド含量は, いずれの品種でも樹冠の外側の果実の方が内側の果実に比べ, 常に高かった.
3. フラベド中の AsA 含量は, ウンシュウミカン,ハッサク共果実発育に伴って増加傾向を示したが, それぞれ肥大が停止する時期から増加が緩慢または一定となった. 樹冠の外側の果実は, 内側の果実に比べ AsA 含量は常に高く, 普通ウンシュウでは発育に伴ってその差が大きくなった.
4. フラベド中の糖組成として, 果糖, ブドウ糖及びショ糖が検出され, ウンシュウミカン, ハッサク共果実の発育に伴って増加傾向を示した. ショ糖含量は, 肥大の停止時期から増加が緩慢または一定となり, AsA 含量の変化と類似した. 糖含量も樹冠の外側の果実の方が内側の果実に比べ, 発育期間中を通じ高い含量を示した.
5. 普通ウンシュウを用いて, 環状はく皮, 摘葉処理及び生長調整物質の塗布処理を施し, フラベド及び果汁中の糖と AsA 含量を比較した. ショ糖含量と AsA 含量の間には高い正の相関がみられ, フラベドでは+0.82, 果汁では+0.95の相関係数が認められた.
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