抄録
コカブの予冷出荷に関する基礎試験として, 温度別の呼吸量 (CO2排出量) の調査を行うとともに, 温度別,部位別の数種内容成分の変化と黄化や腐敗などの外観的な品傷みとの関係を検討した. 得られた結果の概略は以下のようであった.
1. CO2排出量は高温下ほど多く, 品温が10°C上昇することに約2倍に増加した. また, CO2排出量は収穫後の経過時間が短かいほど多い傾向があった.
2. CO2排出量自体は28°C下で70mg/kg•h前後で特に多い品目とは言えないが, これはかぶ部と葉部とが合わさった形態での排出量であり, 葉位を含めての部位別のCO2排出量と成分や外観品質の変化との関連を検討することが必要と考えられた.
3. 試験開始時 (収穫数時間後) のアスコルビン酸,クロロフィル, カロチン, 全糖の各含量は, 未展開葉を含む最も内側の葉区分を除き, 外側の葉区分ほど少ない傾向があり, その後の変化では温度が高いほど, また外側の葉区分ほど減少速度が速く, 外側の葉から黄化や腐敗などの品傷みが始まることとこれらの成分の減少とが関連があるように思われた.
4. 以上の試験結果から, 傷みやすい外葉を荷造り調製時に多く除去することや収穫後できる限り早く予冷することが, 黄化や腐敗などの発生を抑制する点で重要となることが推察された.