園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
エチレン吸収剤がカキ果実のインベルターゼ活性に与える影響
松井 年行北川 博敏
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 57 巻 3 号 p. 507-512

詳細
抄録
エチレン吸収剤の入ったポリエチレン袋にカキ果実を入れると, 貯蔵期間の延長に非常に効果的である. 果実を5°Cと室温でポリエチレンバッグにエチレン吸収剤を使った場合と使わなかった場合, カキのショ糖におけるインベルターゼの効果について検討した. インベルターゼは日数の経過につれて, カキ果実の品質を低下すると考えられている. 従って, インベルターゼ活性をカキの品質の指標として使った, カキ果実の可溶性画分酸性インベルターゼは5°Cと室温で, エチレン吸収剤を使用したものより使用しなかった方がより高い活性を示した.
一方不溶性画分では有意差は認められなかった. 可溶性画分の酸性インベルターゼ活性は, 室温でエチレン吸収剤を使わなかった方が5°Cの場合よりも活性が高かった. これはインベルターゼの至適温度 (45°C) が5°Cよりも室温に近いためと考えられた.
ショ糖の分解を保護するので, エチレン吸収剤は温度に関係なく果実の貯蔵に使われると考えられる.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top