抄録
ハッサク果実の貯蔵中のこ斑症発生と, 貯蔵環境, とくに温度と関係湿度とのかかわりを明らかにするために本研究を行った.
果実は低湿度 (75~80%RH) 及び高湿度90~95%RH) 条件下で, それぞれ2, 5, 10, 15, 20°Cの温度で, 3か月間貯蔵した. こ斑症は貯蔵30日から主に貯蔵果実の赤道部に発現し, その後果頂部及び果梗部へ発達した. その発生程度は, 貯蔵60日以降急激に増加した. 貯蔵温度の違いについて, 10°C以上ではこ斑症発生が多く, それより低温域では発生が抑えられた. 低湿度条件は, こ斑症発生を助長した. また, それぞれの貯蔵環境における果皮色の進み(a/b値), 果重減少率, 果皮水分, 果実湿度, 果実硬度の変化についても言及した.