園芸学会雑誌
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夜間高温条件下におけるリンゴの早期落果とエチレン発生との関係
近藤 悟高橋 佑治
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1989 年 58 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
リンゴ′スターキング•デリシャス′の早期落果を誘発する夜間高温下での落果機構を明らかにし, そのような気象条件下において落果を防止するための基礎的資料を得ようとした.
′つがる′, ′スターキング•デリシャス′及び′ふじ′の3品種につき早期落果率とエチレン発生量とを調査したところ, 早期落果率は′スターキング•デリシャス′,′つがる′, ′ふじ′の順に高く, 果実からのエチレン発生量も同様となった.
エセフォン散布と夜間高温条件下でのAVG (アミノエトキシビニルグリシン) 散布が, 種子の発育, 離層部のセルラーゼ活性, 落果率に及ぼす影響について調査した. 低濃度 (100ppm) のエセフォン処理は散布後の日数とともに種子の発育を阻害し, 徐々に落果させた. 一方, AVG散布は内生エチレンの発生を低下させ, さらに種子の発育阻害, セルラーゼ活性及び落果率を減少させた.
これらより, 夜間高温のような温度が関与する条件下では, 果実中の内生エチレンレベルの増加が種子発育を阻害し落果をひきおこしたと思われ, エチレン発生量の多い品種で落果率の高かったことと関連すると思われた.
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