園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
リンゴの早期落果と内生生長調節物質の消長との関係, ならびにMCPB, GA3+GA4及びBAの散布が早期落果に及ぼす影響
近藤 悟水野 昇
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 58 巻 1 号 p. 9-16

詳細
抄録
早期落果の多い‘スターキング•デリシャス’と早期落果の少ない‘ふじ’を供試して, 満開16日後から種子中のオーキシン, ジベレリン, サイトカイニン様物質の消長と早期落果との関係を求め, さらに早期落果を誘発する遮光処理下でのMCPB, GA3+GA4及びBAの散布が早期落果に及ぼす影響について検討した.
1. 満開16日後から60日後までの種子中のオーキシン様活性については, 両品種間で大きな差はなかった.一方, MCPBの散布は落果を抑制したが, 遮光による種子の発育停止が処理直後から生じたため, 果径の小さな果実が多かった.
2. ‘ふじ’でのジベレリン様物質増加に満開23日後から始まったのに対して, ‘スターキング•デリシャス’のそれは早期落果終了期の満開42日後から増加が認められた. また, GA3+GA4の散布は遮光処理による種子の発育停止にもかかわらず落果を抑制し, さらに果実肥大を促進した. このようなことから, 種子中のジベレリンは落果の程度や果実発育と密接に関係していると思われた.
3. ‘ふじ’における満開25日後のサイトカイニン様物質ピークは‘スターキング•デリシャス’に比べて6日早かった. このため, ‘スターキング•デリシャス’でその含量が増加する以前の満開19日後にBAを散布し,その後遮光処理を行ったが, 落果が促進された. この現象はBA散布後に増加の認められた果実からのエチレン発生量との関連が考えられた.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top