スダチ種子中のリモノイド組成とその含量をUV検出器を備えた高速液体クロマトグラフを用いて分析した.
主要なスダチ種子のリモノイドはリモニンで新鮮種子1g当たり2.53mg (全リモノイドの50.3%) であり,つづいてイチャンゲンシン, デアセチルノミリン, ノミリンが多く, さらに少量のイチャンギン, オバクノンが含まれていた. また酸性リモノイドとしてはノミリン酸,デアセチルノミリン酸, イソリモニン酸が認められた.
イチャンゲンシンはイーチャンチーのみに特異的に存在するリモノイドであり, スダチ種子がこれを含有していたことはスダチがイーチャンチーを祖先にもつ雑種であるか, あるいは極めてこれに近い品種であることを裏付けるものである. またイチャンゲンシン等のリモノイドはカンキツの分類学に化学的指標の一つとして利用可能であることを示した.