園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
スダチ種子中のリモノイド
橋永 文男長谷川 信
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 58 巻 1 号 p. 227-229

詳細
抄録

スダチ種子中のリモノイド組成とその含量をUV検出器を備えた高速液体クロマトグラフを用いて分析した.
主要なスダチ種子のリモノイドはリモニンで新鮮種子1g当たり2.53mg (全リモノイドの50.3%) であり,つづいてイチャンゲンシン, デアセチルノミリン, ノミリンが多く, さらに少量のイチャンギン, オバクノンが含まれていた. また酸性リモノイドとしてはノミリン酸,デアセチルノミリン酸, イソリモニン酸が認められた.
イチャンゲンシンはイーチャンチーのみに特異的に存在するリモノイドであり, スダチ種子がこれを含有していたことはスダチがイーチャンチーを祖先にもつ雑種であるか, あるいは極めてこれに近い品種であることを裏付けるものである. またイチャンゲンシン等のリモノイドはカンキツの分類学に化学的指標の一つとして利用可能であることを示した.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top