園芸学会雑誌
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夜温がカーネーションの生育ならびに14C-同化産物の転流におよぼす影響の品種間差異
三浦 泰昌村上 高小林 宏信
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1989 年 58 巻 2 号 p. 421-427

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抄録
カーネーションのスケニヤとコーラルの2品種に, 日中14CO2を施用し, 24時間の14C同化産物の転流を調査した.
各品種8個体をそれぞれプラスチック鉢で育苗し, 開花期に達するまでガラス室内で栽培した後, 夜温を10°C(N 10) と15°C (N 15), 明期14時間の気温20°Cに規制したグロースチャンバーで, 10月1日から11月9日までの40日間栽培した.
各チャンバーから各品種2個体を選び, 温室内に設置した同化箱に入れて密封し, 午後1時から1時間14CO2200μCiを施した. 同化箱内の14CO2を1NのNaOHとKOHに1時間吸着させた直後 (同化直後A) と, 24時間後 (1日後B) に各品種及び暗期の温度別に1個体を取出した.
スケニヤの茎の伸長, 葉数の増加ならびに切り花本数はN10区に比較してN15区が大きかったが, コーラルでは反対にN10区で顕著に大きかった.
スケニヤN10区の同化直後の14C放射能は二次分枝と一次分枝の葉身で比較的高かったが, 1日後においては二次分枝の頂芽と腋芽の放射能が高く, この値は1日後においてもほぼ同程度であった.
コーラルではN10, N15区ともに同化直後の比放射能が頂芽と腋芽で高く, 1日後においても同じ傾向を示した.
個体の全放射能に対する二次分枝の放射能の割合は, スケニヤのN15区では同化直後にすでに70%程度と高く, 1日後と同程度であった. コーラルのN10区では同化直後に約60%で, 1日後には75%に高まり, N15区もほぼ同じ値を示した.
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