園芸学会雑誌
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メロン果実の成熟特性の品種間差異
吉田 裕一大井 美知男藤本 幸平
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1990 年 58 巻 4 号 p. 999-1006

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抄録

4品種のメロン (Cucumis melo L.) について, 収穫適期前後の果実の糖蓄積およびCO2, C2H4放出量の変化と1,000ppm C2H4処理に対する反応について検討した.
1. var. reticulatus Naud. に属する ‘Earl′s Favourite’, ‘IW-57’は climacteric 様のCO2放出量の上昇を示した. 特に, ‘IW-57’のCO2放出量の上昇は明瞭でピークも高くなった. また, C2H4放出量も多く, ピーク時には他の3品種の10倍以上であった. 果実のCO2放出量と貯蔵性の間に関連が認められ, 貯蔵性の低い‘銀泉’ (var. acidulus Naud.), ‘IW-57’ではCO2 放出量が多かった.
2. C2H4処理は全ての品種で果肉の軟化を促進したが, ‘銀泉’では効果は小さかった. ‘Earl′s Favourite’, ‘IW-57’でも climacteric 期にはC2H4処理の効果は小さかった.
3. ‘Honey Dew’(var. inodorus Naud.) は早い時期から可溶性固形物含量が高く, 開花後40日以降の変化は小さかった. 収穫適期においても収穫直後には, ショ糖の蓄積は少ないが, 追熟によってショ糖含量が増加した. 他の品種では, 収穫適期直前に可溶性固形物含量とショ糖含量が急激に増加した. ‘Earl′s Favourite’では収穫後可溶性固形物含量, 全糖濃度ともに低下し, 追熟の効果は認められなかった.
4. ‘Honey Dew’の収穫直後の果実では可溶性固形物含量と糖濃度の相関は低かったが, C2H4処理後には高い相関が得られた. 他の品種では可溶性固形物含量と全糖濃度の間に高い相関が得られた. ただし, 可溶性固形物含量と全糖濃度の値は一致せず, 可溶性固形物含量は常にかなり高い値を示した.

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