カンキツの主要な種を用いて, 成葉の光合成の種間差異を比較対象として, 葉肉から分離したプロトプラストを用いた光合成測定法を確立し, その手法により葉の形態に影響をうけない細胞レベルの光合成能の種比較を行った.
成葉においてはアマナツ, ブンタンなどのみかけの光合成が高く, みかけの光合成能は約19mgCO2/dm2/hであり, ウンシュウミカン, ユズ, ポンカンなどは約12~14mgCO2/dm2/hと低かった. 概して, 初生カンキツの光合成が高く, 後生カンキツは低い傾向がみられ, また交雑種はその中間であった. その差異の原因としては, 比葉重, 葉中クロロフィル含量, 気孔密度RuBPCase活性などが考えられた.
細胞レベルの光合成能は概して後生カンキツにおいて低い傾向が認められた. しかし, 細胞と成葉のレベル間でその能力がかなり異なる種があることが明らかとなった. したがって, カンキツの種のなかではこの不一致性から, 今後葉の組織構造の改善などによって, 光合成をさらに向上させうる可能性がうかがえた.