園芸学会雑誌
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ハウスブンタンの開花期, 結実並びに果実発育に及ぼす冬季加温の影響
スラメト スサント中島 芳和
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1990 年 59 巻 2 号 p. 245-253

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抄録

カラタチ台の3年生トサブンタンが植えられてあるビニルハウス4棟を供試し, 1987年12月上旬から翌年5月上旬まで, ハウスの温度をそれぞれ5-25°C, 10-25°C, 10-25°C, 及び10-35°Cに調節した. 続いて5月上旬から12月上旬まで, 10-25°Cの1棟と10-35°Cのハウスは側窓を全開したまま放置し, 他の2棟は5月中旬にハウスのフィルムを除去, 12月上旬に再びフィルムを張った. 12月上旬から全てのハウスは10-25°Cに調節した.
冬季加温によって, 開花期が早くなるとともに, 開花期間が長くなり, 単為結果性が向上した. なお, 有葉花の葉数が多くなると, 結果率が高くなった. 果実の発育期を通じて高温処理を行うと, 12月下旬の収穫果では,腰高で, 果皮が厚く, 果へい部にネックのある大玉果となり, 中軸柔組織の裂開が起こった. また果汁のTSS及び酸含量は低かった.
果実発育後期の果実を低温貯蔵すると, 樹上の果実よりも果汁の減酸速度がやや遅くなったが, TSS含量や果色はほとんど影響を受けなかった. ハウスの年間被覆は果皮の着色を良好にした.
トサブンタンの成熟に必要な有効積算温度は2500-2600 C度日と推定される.

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