園芸学会雑誌
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カキ‘西村早生’の花柱内での花粉管伸長に及ぼす温度の影響
福井 博一出町 誠山田 元康中村 三夫
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1990 年 59 巻 2 号 p. 275-280

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抄録

‘西村早生’の雌花に‘西村早生’及び‘赤柿’の花粉を受粉し, 雌ずい内における花粉管の動向を調査した. 15°C及び25°Cの恒温条件下では結果枝を採取し, 葉を除去した後水挿しして実験に供試した. 花粉管の観察は, 柱頭から胚珠まで0.4mmおきに切片を作成し, アニリンブルーで染色後, 黄色の蛍光を発する花粉管数を調査した.
15°C以下では‘西村早生’及び‘赤柿’の花粉はほとんど発芽しなかった. 25°C以下では花粉の発芽及び伸長が認められ, 受粉24時間後の花粉管は‘西村早生’では花柱の2/3程度まで, ‘赤柿’では胚珠にまで達した. ‘西村早生’の花粉管の最大伸長速度は0.6mm/h, ‘赤柿’のそれは1.0mm/hを示し, ‘赤柿’の花粉管の伸長が‘西村早生’を上回った. 自然状態での受粉結果から, ‘赤柿’の発芽した花粉管の半数は時間の経過と共に正常に伸長し, その伸長は同調していたが, ‘西村早生’の花粉管は長いものから短いものまで様々で, ‘西村早生’花粉の花粉管伸長能力の低いことが明らかとなった.

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