園芸学会雑誌
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水耕培養液中のカリ, カルシウム濃度がそ菜の銅過剰障害に及ぼす影響
大沢 孝也田附 明夫
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1990 年 59 巻 2 号 p. 365-370

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抄録

培養液中のK, Ca濃度がそ菜のCu過剰障害に及ぼす影響について検討するため, インゲンマメ, ホウレンソウ, レタス, ハツカダイコンを供試して水耕試験を行った. 処理はCu 0.02, 0.3, 1ppmと, KあるいはCaの2, 6, 18me/lの組み合わせとし, Cu-KシリーズのCa濃度及びCu-CaシリーズのK濃度はいずれも6me/lとした. 培養液のpHは5に調節した.
1. Cuが標準濃度(0.02ppm)の場合には, 多くのぞ菜における最高の生育•収量は, K 2me/l区及びCa6me/l区で得られた. Cu耐性はインゲンマメが最も強く, ハツカダイコンがこれに次ぎ, ホウレンソウとレタスは弱かった. Ca増施(2→18me/l)は,各そ菜ともCu1ppm処理における生育阻害を軽減する効果があった. しかしK増施(2→18me/l)は, ハツカダイコンのCu1ppm処理においてのみ同様の効果を示した.
2. 各そ菜とも葉より根に多くのCuを蓄積し, その較差はCu処理濃度が高いほど大きかった. このような根中のCu蓄積は, Ca増施によって抑制されたが, K増施によっては必ずしも抑制されなかった. 一般に, 根中Cu含有率の高まりと生育阻害程度との間には密接な関係が認められた.

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